前ページ(こちら)までで、以下の事を確認しました。
- どのような物品が「古物」に該当するのか?
- 古物営業に該当する「取引」は何か?
どちらにも該当する場合は、事業を始める前に古物商許可の取得が必要になります。
では、一体誰の名義で古物商許可を申請したら良いのでしょうか?
会社の社長や取締役などの役員が個人名義で古物商許可を持っている場合、会社の事業で使えるのでしょうか?
このページでは、これを確認します!
「個人」と「法人」の違い
法人とは、「法律上別人格を与えられたもの」です。つまり、個人と法人は別のものとなります。
そのため、個人事業主が古物取引を行う場合は、個人名義で古物商許可を取得。
法人が古物取引を行う場合は、法人名義で古物商許可を取得しなければいけません。
- 個人事業主が古物の取引を行う場合
→個人名義で古物商許可を取得 - 法人が古物の取引を行う場合
→法人名義で古物商許可を取得

個人名義で取得した古物商許可は、その人が個人事業主として事業を行う場合の許可です。
法人での古物取引には使用できません。
会社の役員が持つ古物商許可は、法人で使える?
会社の社長や取締役などの役員が取得した古物商許可は、その人が個人事業主として事業を行う場合の許可です。
法人で古物営業を行う場合は、法人名義で古物商許可を新たに取得する必要があります。
法人成り(個人事業主が法人化)した場合は?
個人事業主から法人化する場合は、法人名義で古物商許可を新たに取得する必要があります。
違反時の罰則など
法人で古物の取引を行う場合に、法人名義で古物商許可を取得せず、個人名義で取得した古物商許可を使用した場合は、個人は名義貸し、法人は無許可営業に該当し、個人・法人どちらにも重い罰則(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科せられる場合があります。
古物営業法 第三十一条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
出典:e-Govポータル (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000108)
- 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者
- 偽りその他不正の手段により第三条の規定による許可を受けた者
- 第九条の規定に違反した者
- 第二十四条の規定による公安委員会の命令に違反した者
1は、無許可営業
2は、虚偽情報や不正な手段により古物商許可の取得
3は、名義貸し
4は、営業停止命令違反 です。

古物営業法 第31条違反は重い罰則だけでなく、欠格要件にも該当する違反です。
この違反で罰せられた場合、5年間は古物商許可が取得できなくなります。
簡単に古物営業法の趣旨
人間なので、「うっかり」や「知らなかった」、「事業が軌道に乗ったら許可申請しようと思った」という気持ちも分かります。
しかし、古物の取引を規制する古物営業法は「盗品等の売買の防止と速やかな発見等(流通の防止)」と、「被害の迅速な回復」を目的に定められた法律です。古物商を営む方には、取引相手の確認や、盗品捜査に協力できるよう取引記録の保存、盗品等の疑いがあるものを発見した際は警察への通報など、大きな義務が定められている許可制度です。
そのため、その義務を負わない無許可営業には重い罰則が定められています。